常々感想記

本 映画 音楽 その他諸々の雑感を書き連ねるブログ

2016 印象に残った本

映画に続いて本版も。今年初めて読んだ作品で印象に残ったものをパッパと挙げていきます。よくも悪くも翻訳物ばっか読んでいた気がする。

 

 

雨月物語春色梅児誉美(河出書房新社 日本文学全集第11巻より)

 

どちらかに絞りたかったが両方とも良かったんだもん。雨月物語はちょっと不思議な話、春色梅児誉美は三角関係を扱った人情物語。今読んでも全く色あせていない面白さがここにはあった。

 

巨匠とマルガリータ

 

すごいぞ!ヴォランド率いる悪魔たちが起こす騒動が面白くて、ついついページをめくってしまう。悪魔に翻弄される現代の人間たちがいわゆるブルジョワ階級ばかりなのも皮肉が効いているぞ。一回ちゃんと感想をまとめたい本。

 

三国志(吉川英治版)

 

問答無用の面白さです。読まれる理由もわかるというもの。分かりやすくて、登場する人物たちが生き生きしている。個人的に好きな武将は趙雲です。

 

風とともに去りぬ

 

新潮文庫の新訳でよみました。想像以上に主人公のスカーレットがクソ女でした。言い方を変えれば自分の欲求に素直な女と言えます。クソ女と言ったけれど、嫌な女という意味ではありません。

 

見てごらん道化師を!

 

ナボコフの本です。面白いと思わなかったことになんだか驚き!自分のために書いていおり、他人のために書いていない文章だなぁという印象。ナボコフのことをよく知っている人が読んだら面白いと思うのではないだろうか?

読ませる気がないと分かれば、ぼくも無理にわかろうとしないので読むのが苦痛ではありませんでした。また読んでみたい本。

 

重力の虹

 

続いてよくわからなかった本シリーズ。えー・・・・・・また今度チャレンジしたいです!

 

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亡霊の日記

 

今年読んだような、去年だったような。しかし忘れられないので書き残しておく。ロベール・デスノスというフランス人作が書いた短編小説です。彼はシュルレアリスト。この作品は、情報をインプットせずまっさらな状態で読んでほしい本。

 

春琴抄

 

今まで読んでいませんでしたァ!時代がかった語り口ですが、それが作家谷崎潤一郎の到底ありそうにない話に読者を没入させるための工夫と聞くと「すげぇ」としか言えません。

 

ムーミン谷の彗星

 

ムーミンの本を読むのは初めて。なんだこれ、結構怖い話だぞ。続きも必読します。

 

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン

 

このブログに書いた感想が作者本人に「いいね!」されたので、忘れられるわけがない。本も面白かったし、今後も注目したい作家です。

 

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生鮮てるてる坊主

 

今年度の川端康成文学賞受賞作です。生々しい話をよくここまで生々しくかけるものだ。ちょっと気分が悪くなったぐらいです。おえっ。

 

アメリカ大陸のナチ文学

 

今年はボラーニョに出会えたのがなによりよかった。他の作品も読みましたが、ボラーニョ初読みのこの本をあげます。

 

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帰郷ノート

 

フランスの植民地だったマルティニック島の政治家であり詩人であったエメ・セゼール著。逃げることを許さない力強い言葉の詩。アイディンティとはなんだろう。

 

白痴

 

ゲーム「マザー」に出てくるどせいさんはこの小説に出てくるムイシュキン侯爵がモデルらしいです。純真すぎるのも混乱を生んでしまうのか。

 

ロリータ

 

なんでこの本をここまで書くのを忘れていたんだ?めちゃくちゃ面白かったのに。

 

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第三帝国の興亡

 

ノンフィクションです。第二次世界大戦時のドイツの動向を追った本。

 

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暴力の人類史

 

いろいろと考えてしまう本。何回かに分けて振り返るといっていたけれどできていない。ダメだなぁ。

 

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ざっと思いついた限りであげました。今回挙げなかった作品も印象に残らなかったわけではなく、まだまだ出てきそうなので一回区切ろうと思っただけ。

今年は本をいっぱい積んでしまっているので、来年はまずその本たちから読みます!

 

 

 

2016年 印象に残った映画

今年初めて見た映画で印象に残った映画を幾つか挙げてみようと思います。

今年公開の映画とは限らず、昔のも多々含まれるかと。基準はなく、ただ「そういえばあの映画……」程度なのでかなり主観的。挙げる順番も関係ありませんので悪しからず。

 

 

ドクトル・ジバゴ

 

ロシアは広い!開けた雪原を行くまばらな人影が非常に印象に残りました。文章ではロシアは広いと散々読んできましたが、それを実感させてくれた映画。

ロシアに行ってみたいですね。

 

マイ・ファニー・レディー

 

今年の初めに見ました、新年早々笑わせてくれた映画です。面白い映画だった、それに尽きます!

 

 

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天井桟敷の人々

 

やっと見ました。「名作だ」という評判は聞いていましたが、3時間ほどの長い映画なのでなかなか手が出ませんでした。見ればあっという間に時間がすぎた……。バチストを演じたジャン=ルイ・バローのあどけない表情に加え、舞台と日常で見られる変化が圧巻でした。

 

スターウォーズ ローグワン

 

つい先日見てきました。率直にいえば駄作です。

見所は恐怖の対象であるはずの帝国軍が全くそう見えず、上司に脅され右往左往するさまがとても可愛いこと!あとはフォース大好きおじさんの存在が救い。

ナンバリングタイトルに期待しましょう。

 

黒猫・白猫

 

ブログにも書きました。それほどいい映画でした。うーん今度DVD買お。

 

 

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君の名は

 

映画に音楽って大事だなぁ、としみじみ思った映画。繰り返しになるけれど、個人的には「映画ではなくものすごく長いPV」という感じ。いいところだけ抜粋して編集した感じがものすごくする。面白いんだけども。

 

 

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この世界の片隅に

 

語るより見てほしい!それほどの映画。クラウドファンディングで制作費を集めたという話も嬉しい話。何回でも見れます。見たいです。

 

 

シンゴジラ

 

石原さとみの「ガッジーラ」では笑わせていただきました!平泉成の「ハァ、アメリカさんは無茶ばっかりいうねぇ」は最高のセリフだと思います。過去作も見てみようと思いました。

 

女たち

 

ジョージ・キューカー監督作品。本当に女しかでてこない映画です。まずそこにびっくり。そしてそれで面白いことにまたびっくり!女の戦いは面白いです。

 

わたしの殺した男

 

黒い手袋をクローズアップさせてカメラを徐々に引く演出をしたのはこの映画が初めてだったとどこかで聞いたような聞いたことがないような。

 

エル・トポ

 

常に「なぜ?」と思いながら見ていた映画。わからないので困っちゃう。

 

 

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洋画に偏ってるなぁ。邦画も見たいと思うけれども。そういえば

 

木下恵介監督の「風花」だと思うけど、見たなぁ。

伊丹十三も見たっけ。「タンポポ」は面白かった。来年はもっと映画みよう。そのために年末年始も映画漬けだ!

 

 

 

 

 

人生初ライブ 11/21「ペトロールズ」

introduction

これまで音楽はCDで十分と考えていたし、ライブに行かないのは人ごみが嫌いだという理由もある。しかし行かず嫌いというものも如何なものかと思ったので、とりあえず行ってみることに。うーん、やはり現場でしか味わえないものはあるのだなぁ。

 

僕の音楽への姿勢について 

音楽はCDで十分だと思っていたというか、多分そこまで熱心に音楽を聴いてきてはこなかった。好きな楽曲はもちろんあるし、よく聞く曲もあるけれどその大半は映画やアニメ、ゲームのサントラだった。言っておくけどそれだけではないよ!

はい、平沢進が好きです!

 

けれどもそれでいいのかなぁ、食わず嫌いっていうのもなぁと思った。そこでこう言い方はよくないとわかっているが、あまり大きくない規模のライブに行ってみようと思った。実際は新木場coastって大きいのか大きくないのかもよくわからなかった。

どうして「ペトロールズ」を選んだのかは覚えていない。どこかで聴いて「いい」と思ったからライブに行ってみようと思ったのは確か。

 

ライブ当日

 

新木場駅を出て、曲がってまっすぐ行けば会場に着くと覚えていた。右か左は把握していなかった。そこで右に行った。小雨が降る中、夢の島公園の脇を歩いていく。思ったより遠い。場所を確認する、逆方面だった。

いそいそ戻って会場へ。会場へ向かうと思わしき人が左に向かっていたのになぜ右に曲がって行ったのか……

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なんにせよ、ついた時にはまだチケット番号をが呼ばれておらず少し待つことに。リュックを背負っていたのでコインロッカーに入れたいと思ったが、外のロッカーは埋まっており、会場内でしまうことにしたが100円玉がなかった。

飲み物はジントニックを飲んだ。ほぼ一気飲みをした。

ライブは立ち見をだったが結構しんどいなぁ、アレ。

 

音楽を聴いて

 

やはり生は違うんだな、ずんずん体に響いてくる。低音は大好きなので少し心地よかった。でも音が大きいとも思った。ライブはああいうものなのだろうか。即興や、原曲より少し曲調を変えた演奏はライブでしか聞けない。これが醍醐味か。

目の前にいる人の体が音楽に合わせてゆらゆら揺れていた。体の関節がバネなんじゃないかと思うほどに。これがライブかぁ。音楽はすごいけれど怖いな。

音を体で感じられること、がライブの魅力だろう。うーんこれははまってしまう人ははまってしまうのもわかる。

だが、僕は立ち見は嫌だなぁと思ってしまった。もっと小さい会場で座って音楽を楽しみたいと。ジャズ喫茶でも行ってみようかな。

 

バンドについて

トロールズは音の足し引きが上手なバンドではないか。フレーズを重ねたり、引いたりしの変化で聴いている人を楽しませてくれる。ハモりが多いのもその証ではないか?

あとめっちゃうまいな。

バンドの印象も生だと変わる。

PCを通して聴くと落ち着いてるなぁという印象だったが、ライブだと遊んでいる子供といった感じ。見せびらかし、俺の音を聴け!と自己主張する感じ。そうでもないと音楽はできないのだろう。驚き。こんなにもイメージが変わるなんて。

 

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音楽は生で聴くのとCDで聴くのとはまったく違うと実感した。生の音を聴くのは楽しい。もっと小さい会場でまた今度何かのライブに行ってみようかな。

 

 

これが現代・・・・・・

先日書いた「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」の感想文が作者本人にいいね!されるという珍事が起きました。

ぼくのダラダラ読書感想文に作者がいいね!をしてくれるとは・・・・・・

なんだか嬉しくなってしまいます。

作家さんとこんなに距離が近いなんて思ってもいなかったので驚きがいっぱいです。

これが現代なんですね。

 

こちらがそのツイート

 

very cool reviewと言ってくれました。とっても嬉しいのですが日本語を読めるのでしょうか?

 

これからももしかしたら作者本人に読まれることがあるかもしれないと思うと下手な感想文は書けないなぁ。思うだけで変わらない気もしますが。

 

皇国「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」

introduction

 

21世紀版『高い城の男』(読んだことない)という宣伝文句で、大々的に売り込まれたこの作品です。表紙は『メカ』と呼ばれる大日本帝国軍(陸軍なのか海軍なのか空軍なのか気になる。おそらく陸軍であろうが……)の兵器。

第二次世界大戦で日独が勝利し、現在のアメリカが日本とドイツによって分割統治されている世界でのお話。

 

author

 

ピーター・トライアス。この作品が長編第2作目。

作家デビューしてからまだ時間があまり経っていない様子?邦訳されたのも今回が初めて。読んでみましょうよ。

 

plot summary

 

第二次世界大戦で日本とドイツ勝利し、アメリカ西海岸が日本の統治下におかれて40年。1988年、巨大ロボット兵器「メカ」が闊歩する合衆国日本で検閲局に勤める怠け者の帝国陸軍大尉石村紅功は、特別高等警察の槻野昭子課員の訪問を受ける。

彼女は石村のかつての上司、六浦賀将軍の消息を追っているという。高名な軍事ゲーム開発者の六浦賀は、先の対戦でアメリカが勝利をおさめた改変歴史世界を舞台とするゲーム「USA」を密かに開発し、アメリカ人抵抗組織に協力しているという。石村は槻野と共に六浦賀を捜索することになるが……

 

 

review

 

・独裁

 

前々から読みたいと思っていたが、先の「第三帝国の興亡」を読んでからの方が絶対面白いと思ったので、読むのが先延ばしになっていた作品です。

いやー、楽しいですね。楽しいながらも「偉大なるアメリカ」ってなんだろうなぁと思わされます。

 

あらすじだけ読むと、ハリウッド映画みたいな印象をおそらく受けると思うのですが、日本人向きの小説ではないかと思います。

第二次世界大戦で日本が勝利した世界ですが、ディストピアに近づいています。反抗的な思想を抱くと、尋問と称し連れ去られ拷問。死に至る。こんなことは起きないよ!と日本人なので主張したくなりますが、そうも言えないのが辛いところ。軍事国家はこうなってしまうしかないのでしょうか?

天皇を神と同一視して、少しでも不敬な発言があったらしょっぴかれる嫌な世界です。「皇国」と日本のことがしばしば呼ばれますが、それがいい意味に全く聞こえない。

すごいところは、日本の強圧的な態度に反抗するアメリカ人もきちんとおかしく描いているところです。アメリカ人はキリスト教を信奉し、そのイデオロギーによって行動していますが、本を読んでいる僕らからするとなにかおかしい。結局やっていることは規模が違うだけで日本と変わらないのではないかと。

その組織の名前がジョージ・ワシントン団なのには笑ってしまいました。

第二次世界大戦で日本が勝利した世界、「メカ」という巨大ロボット。という心がワクワクする設定をカモフラージュに、骨太な要素が詰まっています。結構ダーク。

 

気になるのが「どうして日本は戦争に勝利できたのか?」です。自分なりに予想を立てて読んだところ当たらずとも遠からず、といったところでした。やったぜ。

日本とドイツはまず協力してソ連を叩く。ソ連を叩き終わった後、アメリカ侵攻といった順序。アメリカとの戦争が始まった時期が、史実より少し遅くなっています。ドイツも無闇に戦線を拡大することがなかったのでしょう。

 

・なんだかあまり本編の話をしていない気がする……しよう

 

1948年で「メカ」というロボットが歩行する世界です。1988年が物語の主な舞台ですが、それでもテクノロジーは今と同じ、もしくは今以上の水準まで達しています。今でいうコンピュータは「電卓」と呼ばれ持ち歩きも楽。主人公石村紅功(作者によると槻野昭子のほうがメインキャラクターらしいが)もプログラミングの腕が優れており、それを生かして検閲局で仕事をしている。

その仕事は販売されているゲームにおける選択肢等から、その個人の思想を推し量り、反抗勢力を調査するという仕事だ。ゲームといって馬鹿にできない世界である。そこに作者の日本文化好きも窺える気もする。

 

僕がこの本で好きなところは怠け者でサボりぐせがあり、女にだらしがない石村が、物語が進むにつれて一本気の通った男だとわかるところ。昔は過ちも犯したが、それでも彼の選ぶ道は間違っているとは言えない。よっ紅功屋!

一方、槻野。確かに彼女が主人公です。皇国の一兵士として忠誠を誓い活動してきたが、間違え、悩み、知り、後悔し、それでも立ち上がろうとする。彼女は成長したら草薙素子みたいな女性になるのではないでしょうか?その時「昭子ォーーーー!」と呼んでくれる男性が現れるのを切に願います。

 

「メカ」戦もあります!巨大な質量のぶつかり合いを楽しみましょう……1対8というほぼリンチみたいな状況です。これは映像でみたいなぁ。

 

・まとまるのか?まとめ

 

とりとめのない話が終始続きました。しかし面白いのは保証します。僕は「第三帝国の興亡」を読んでからこの作品を読むことにしてよかったぁと思っています。松野やロンメルゲッベルスという名前にニヤニヤしながら読めました。

もちろん歴史に詳しくなくても楽しく読めます。

しかし参考文献に「第三帝国の興亡」が載っていた時はなんだか知らないが震えたなぁ。

「お……俺は弱いんだ。」このセリフが好きです。

 

 

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

 

第三帝国の興亡

introduction

 

ナチスドイツは1933年からおよそ11年半存続し、ヒトラーは1945年4月30日に自害した。なぜヒトラーが権力を握るに至ったのか、そしてなぜヒトラー率いる第三帝国は滅びたのか。までを丹念に描いた本。

作者も戦争当時、ジャーナリストとしてドイツに滞在しており彼の目で見たドイツ、今では信じられないようなことが起きた当時のドイツの雰囲気を伝えてくれる。

 

author

 

ウィリアム・L・シャイラー。ジャーナリストとして、ドイツに1940年まで滞在しており、その後は戦況の悪化から本国のアメリカに帰国。オーストリアの併合や、ポーランド侵攻は現地で遭遇した人。

第二次世界大戦の特徴は豊富な資料が残されていることだった。その資料にあたり、とても長いが読み応えのあるこの本を書いた。

また、自身の経験を中心とした他の本もあるようだ。

 

 

plot summary

 

ヒトラーが1933年に首相に任命される以前、第一次世界大戦の一兵卒だった頃のヒトラーから描く。ナチ党の胎動からこの本は始まり、1945年のヒトラー自害までを区切りとして書いている本。

ドイツ内部で一体何が起こっていたのか、何がナチ党の進出を許したのか、何が第二次世界大戦を引き起こしたのか、そしてなぜホロコーストが起きてしまったのか。ナチのイデオロギーはなんだったのか。

イギリス、フランス、イタリア、ソ連、アメリカ、諸外国の海外情勢を含め、詳細に書いた本。

全5冊。長い!

 

review

 

とても読み応えのある本だった。今まで漠然としかなかった知識の肉付きが少し良くなった。もちろん完璧に把握はできなかった。それでも、その一部を知ることができたし、第二次世界対戦後の世界情勢の流れもなんとなくだが、想像できるようになった。今までは想像すらできなかったからね。

 

僕のナチスドイツについての最大の疑問、どうしてヒトラーが権力を握るに至ったのか?も詳しく書かれており非常に満足している。

彼らは合法的に権力を握ったと聞いた時から、どうやって?がものすごく気になっていた。合法的といっても、白と黒の境界線上を綱渡りしているし、ヒトラーのペテンの才能が傑出していたせいもある。と認識した。

感心していいのかわからないが、ヒトラーは権力を握るために戦略を立てていた。簡単に言えば、軍を敵に回さないこと、民衆の支持を得ること、だ。

政治家ならば民衆の支持を得ることは当たり前だが、彼は同じ政治家仲間のことは一顧だにせず、加えて人口の割合が大きい労働階級の支持を得ることに注力した。貴族や、富裕層に配慮しなかったわけではないが。

軍を的に回さないというのは、彼らを敵にするといざという時、武力で屈服させられてしまうからだ。現代とは少々事情が異なり、軍は大きな発言力と権力を持っていたため、彼らを敵にすると思うような活動ができなくなる。

ちゃんと考えてたんだなぁヒトラー

そして、ヒンデンブルク大統領により首相に任命されたところから彼の権力の掌握が本格的に始まる。

 

ドイツと同じ枢軸国側として戦争をした日本国民としては、なんでドイツと手を結んだのか、も気になっていた。

実情は、互いに都合の良い考えの押し付け合いだったようだ。ドイツも日本を信用せず、日本もドイツを信用しない、互いが勝手に戦争を始めたせいでアメリカの介入を招き、ソ連の反撃を押し返すことができず、敗北に至ったようだ。

それで同盟国と言えるのか?言えるのか。

 

ヒトラーの独裁だったナチスドイツはよく分からない決断を下すことがあったのもよくわかった。そのせいで、成功することもあったし、失敗することもあった。しかしヒトラーの最期を考えれば、彼は間違えた、ということができるだろう。

決定を翻意させようとしてもできなかったし、しようとする人物もいなかった。ヒトラーに対するクーデター、暗殺も試みられたが、誰もがなぜか他人任せ、自分が積極的に行動しようとしない。

一体何があったのだろうか。

 

全5冊のこの本の構成は以下の通り

1 アドルフ・ヒトラーの台頭

2 戦争への道

3 第二次世界大戦

4 ヨーロッパ制服

5 ナチス・ドイツの滅亡

 

この本、第二次世界対戦が起きるまでの情勢が約半分を占めている!

すげえぜ。

 

こういう本を読んでいると、学校で学ぶ歴史なんて、何か教えてくれているようで何も教えてくれていないのだなぁと思ってしまうなぁ。そんなことはないのだろうけど。歴史なんて不確かなものさー。

 

今度は「大日本帝国の興亡」を読もうと思う。

 

 

第三帝国の興亡〈1〉アドルフ・ヒトラーの台頭

第三帝国の興亡〈1〉アドルフ・ヒトラーの台頭

 

 

 

第三帝国の興亡〈2〉戦争への道

第三帝国の興亡〈2〉戦争への道

 

 

 

第三帝国の興亡〈3〉第二次世界大戦

第三帝国の興亡〈3〉第二次世界大戦

 

 

 

第三帝国の興亡〈4〉ヨーロッパ征服

第三帝国の興亡〈4〉ヨーロッパ征服

 

 

 

第三帝国の興亡5 ナチス・ドイツの滅亡

第三帝国の興亡5 ナチス・ドイツの滅亡

 

 

 

2016東京国際映画祭にて。ごめんなさい。

introduction

行けるなら行こうと思ってなんだかんだ3年目。『雨月物語』や『荒野の決闘
等古い作品のリバイバル上映も魅力的でした。めちゃみたかった。

しかしやはり“今”の映画を見たいと思って見たのが『シエラネバダ』。

なんでだろう?前年の『カランダールの雪』に続き今回の『シエラネバダ』もおよそ3時間という長い上映時間。上映時間が長いのはあんまり好きじゃないんだが……。

 

楽しみにしていましたが、ごめんなさい熟睡してしまいました。

 

cast&crew

クリスティ・プイユ

1967年ルーマニアブカレスト生まれ。2001年の初長編監督作“Stuff and Dough”はカンヌ映画祭監督週間に出品された。短編“Cigarettes and Coffee”は04年ベルリン映画祭の最優秀短編作品賞を獲得。『ラザレスク氏の最期』は2010年カンヌ映画祭「ある視点」部門の作品賞を受賞した。

 by東京国際映画祭HP

 

ここでしか見れないものを見ようと今回はルーマニアの映画監督の作品を選びました。当然ながら作り手のことは全く知りません。

それがワクワクするのです。

 

plot summary

 

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作品解説

亡くなった一家の主の法要で、親族がアパートに集まってくる。細かいトラブルが重なり物事は予定通りに進まない。歴史を巡る口論、厄介な叔父との押し問答、一向に到着しない神父、そして料理は冷めていく…。ルーマニア映画界のフロントランナーのひとり、クリスティ・プイユ監督が、激しい出入りとエンドレスな議論とでカオスと化す狭いアパート内に、親族という巨大な小宇宙が浮き上がってくる様を驚異的なリアリズムで描き切る。父親の法事の場で共産主義を巡って口論した監督の経験がベースになっている。ルーマニア民主化の前と後を知る監督は、歴史認識が時代に応じて変わる様を体験しており、世代間の意見の衝突を執拗に描いていく。そのうえで、異なる歴史観の持ち主も飲み込む親族という集団の底知れなさを覗きつつ、亡父の昔の嘘に傷つく男の心も描き、マクロとミクロの双方の視点を内包した深淵なる作品である。2016年カンヌ映画祭コンペティション部門出品。

 by東京国際映画祭HP

 

開始早々寝てしまったので、ろくに話の筋をわからずに過ごしてしまいましたが……そうか、こんな映画だったのか。インスピレーションで映画を選んだので内容は把握していませんでした。

画像の女性は画像の男性の妻ですが、ものすごくキツイ顔してると思います。思いました。

 

review

きちんと映画を見てないくせに何を書こうというのか、と我ながら思わないでもありません、が書きます。映画の内容に関係ないことの方がおそらく多くなります。

 

 

リアリステッィクな作品でした。ほぼ、自分が透明人間になってそこにいるかのようなアングル。こっそりとその舞台に入り込んでいるかのような感じがしました。ぎょっとさせられるような演出が取られることもなく、大音量が響くこともない、寝るのには全くもって相応しすぎる映画。

うとうとしながら見ていいたのですが、ぼくの後ろからもイビキが聞こえてきたりしていて、「イビキはやめようぜ」と思いました。ぼくはかいていないはずです、ええかいていませんとも。

昔は映画館で寝ている人をよく見かけた気がします。最近はめっきり減りました。映画の単価も上がったし、忙しない世の中です、映画館で寝て過ごすなんて贅沢な時間の使い方は許してくれないのでしょうか。

だからこそ映画館で寝ることが気持ちがいいのではないだろうか!悠々とするべきであある。もっとみんな余裕をもった時間の使い方をするべきなのだよ。

自分を正当化しようと試みるも、やっぱり映画しっかり見たかったと思う今日この頃。

 

東京国際映画祭に来る人は皆大の映画好きであることは白日に晒さなくてもわかることである。そういった「映画好き」と映画をたまーに見る程度の人たちがだんだんと乖離していってるな、とふと思う。

映画ファンと映画好きがお互い楽しめる作品というか、こういう言い方好きではないが玄人と初心者というか、そういう作品が少なくなってきてるんじゃないかなぁーと。

その理由。

 

例えばの話し。

大の映画好きが、世間で大人気の映画をあまり好きになれなかった。そのことをで発言する。「あんまり面白いと思わなかったなぁ」するとどうだろうか。映画を通ぶって見ているだとか、これがわからないのはおかしいだとか。共感することを強いる。ひじょーに疎ましい。

お互いの立場を守りつつ、語り合えばいい話しなのになぜか同じように思うことを強制。同調させようとする。映画というメディアは、注目が集まりやすいのでそういった意見に出会うことが多いのかもしれない。

特に僕が気に食わない、何言ってるんだコイツと思うのが「世間が求めてるのをわかってない」である。

ぼくはプロデューサーではない。

見てるのは世間じゃなくて、ぼくだ。なぜ世間の求めてるものと同じものを求めなければならんのだ。

 

共感し同調することを強いることが、否定的な発言を減らし、肯定的な意見ばかりを目にするようになる原因なのだろう。多くの人間が共感できるような作品を作らないと売れない。つまり普遍化する。

ここが映画の厄介なところで、映画っていうのはお金がかかるから、やっぱり売れるものを作ろうとする。すると無難なところに着地をするしかない。そういったものが増えてるというか、映画興行も洗練されてきてしまったのかな、と。

 

今のところぼくはこう思っています。

面白いと思う作品はあるけれど、大好き!と言えるような作品がないのが今の映画だなぁ、と。その代わりつまらん、もない。

 

もっと好き嫌いはっきりいっていいと思うけども。ってそれはぼくにも言えることか。自省します。