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狐が風鈴を鳴らす

本 映画 音楽 その他諸々の雑感を書き連ねるブログ

『重力の虹』HAHAHA!理解不能

感想 読書

 わっけわかんねぇ。

 

ささやかではあるがそれなりに本を読んできた身としては、たいていの本は読めると思っていたけれど今回そのチンケな自負をぶっ壊していただきました。ありがとうございます。世の中は広いね。あらすじをかけるほどに読めず内容も理解できず。表面的な書いてあることはわかるよ?わかるけどそれが何を言っているのかさっぱりんこ。

第1部を一回読んであまりにもわからなかったのでもう一回第1部を読んでそれでもわからなかったので「ああ、これはそういう本なんだな」と諦めてかなり時間かけて読みました。三ヶ月ぐらい?

そんな『読んでも意味がわからない小説』だったので内容について言及することができません。だからなぜ読んでも意味がわからないかについて書こうと思います。

 

・圧倒的な知識量

まず挙げられるのがコレですね。脚注の数がおびただしいことこの上ない。(私が読んだのは新潮社刊行佐藤良明訳のトマス・ピンチョンコレクション)脚注を読んでも正確にその意味を汲み取るのは難しいでしょう。

重力の虹』の舞台は第二次世界大戦のヨーロッパ(流石にこれくらいはわかる)で、その当時の流行や軍事行動、関連して工学知識をもふんだんに詰め込んだまさに百科事典的な本でした。ロケットが話の根幹にかかわってくるので特にロケット工学の話が凄まじい。また本来俗っぽいポルノやギャグがここまで多用されると頭が混乱してくる。宗教の話や意識についての哲学的な話。もうどんな話が出てきても驚かなくなります。

当時と70年近い隔たりがあるのでまたその知識が得難い。いや、分かりにくいといったほうが適切か。(Gravity’s Rainbow Companionという重力の虹についての注解書を始めとする数々の研究がその凄まじさを物語る。http://pynchonwiki.comこんなサイトもあるぐらいだしサイトを取ってもこれ一つでもない。)しかしその分脚注を読まずにわかった時は嬉しかった。まあホルスト・ヴェッセルぐらいだったが。

映画ネタ俳優ネタもめちゃくちゃ多くて登場人物をよく俳優で例えるのだがその当人を知らない、ので意味がわからない。もっと有名人で例えてくれと思ったが、昔有名だが今無名なんて人ざらにいるもんな。

また原語は英語なのでがその英語を生かしたダジャレやスラングが多用されている。正直日本語では味わいつくせないのではないか、と思った。

 

・あっちこっちいく物語

軸はタイロン・スロースロップという人物の話……のはずです。すみません、これすら確信を持って言えないです。あっちにいって、こっちにいって、あれ?今何の話をしているの?あれ?コイツ誰だっけ?

何回あったか数え切れません。もう途中からは一回読んでわかるような小説ではないと諦めていたのでわからないものはわからないまま読んでしまいました。

日時と場所がはっきりと言及されない(わかろうとすればわかる……っぽい)のでこの出来事はさっきより前か?後か?それとも別の場所の話か?

?だらけの物語。文はわかるけど文章としてはわからない。それにこの出来事が現実という保証は全くない。誰かの妄想ということがしばしばあり、その妄想にかなり振り回される。みんな妄想しすぎ。

断片的すぎるし、一貫性がない。

およそ1400ページ数ある本だったが、数百ページ前の内容が突然言及されることも多々あり「そんなの覚えてねぇよ!」という私の嘆きが自室に何度も響いた。

 

 

・今誰の視点なの?

これも相当ひどい。気が付いたら切り替わってる(ぽい)。段落が切り替わることもなく唐突に入れ替わることもしばしば。そもそも懇切丁寧に誰々が思った  などと書かない。場所と内容で判断するしかないのだが、それが先ほど挙げた圧倒的な知識量を必要ともするのでさっぱりです。そもそも主人公(のはずの)スロースロップの自我自体どんどん散らばっていっている(解説によると)ので、視点なんて考えるだけ無駄なのかもしれない。

つまりだよ、読ませる気がないんだよ!と思ってしまった私。

そもそも全米図書賞を受賞した今作だが、一体何人がこの本の内容を理解したが疑問に思う。「なんだかわかんないけどすごそうだから賞あげよう」っていう人が絶対いたね!間違いないね!

 

読んでも意味がわからないので何度寝落ちしたことか……。今までで一番寝落ちした本だ。多少とも読んだことのある人ならわかると思うけど、本当にわからない小説だった。だいたい何でキングコングの話のすぐ後にフリーメイソンの話が出て来るんだ。かと思えばすぐにファックしようとするし。電球の物語が始まるし。気球に乗って逃げるし。読む人は相当の覚悟をしましょう。

時折笑えるシーンあります。クスクスとガハハと。そのー難しいことは難しいですがインテリゲンチャな小説ではないです。結果として知識量を要求されますが、日本の古典並みに下ネタが多いし、よく叫ぶし。GAHHHHHHHとかYAAAGGHHHHHとか。

こんな本でも何回も繰り返し読めばわかるようになってくるのかな。

けど読んでもわからない本っていうのも面白いもんだね。「わからないことが面白い」という感覚というか。そんな本を読むのはかなりキツイけど。ピンチョンの多少の意地の悪さと「読めるもんなら読んでみろ」と不敵に笑ってる姿を勝手に想像して、またもう一回読むエネルギーとしたいと思います。今度ね!今度!HAHAHAHAHA!

 

 

 

トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection)

トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection)

 

 

 

トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[下] (Thomas Pynchon Complete Collection)

トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[下] (Thomas Pynchon Complete Collection)