樹海村
不安をあおるシーンはなく、恐怖で震えるシーンもない。
そう、ホラーではなくホームドラマでした。わたしはホラーが見たかったのに…
あらすじ
天沢響は引きこもり。
今日もモニターの前に居座って、ヘッドフォンで耳を閉ざし、動画を見る。
見たくないものが見えてしまうから。
ないはずものを感じてしまうから。
姉の鳴の友達である輝の引っ越しの手伝いの最中も異様なものを感じてしまった。
すると輝が床下から古びた箱を見つけてくる。
それはコトリバコと呼ばれる呪いの箱だった…
ホラー映画はそんなに見る方ではないけれど、ホラー映画としては駄作ではないでしょうか。全く怖くないし怖がらせる気もないとしか思えない。
肝心要のタイトルにもなっている樹海村がリアリティ(ここでいうリアリティは映画の中での話です。念のため)皆無な上、話題の中心でもないので拍子抜け。
ざっくりいうと、樹海に追い出された身障者たちが集まり作り上げた村、というのがこの樹海村の来歴らしいのですが、ほんとにこれくらいしか語られない。
後はこの村は数々の災いを引き起こす呪いの元凶であるコトリバコを作り出した村でもあるのですがビミョーに怖くない。いい大人が顔寄せ合って指をちょん切り、箱に入れていく光景はどこかシュールです。呪いをかけるためにこのコトリバコを作っているはずなのですが、何かを呪っているように見えません。村が映るシーンではあからさまにフットライト焚いてディフュージョンかけて、と絵の作り方が逆に安直なためチープ感が出てしまいただ変な人達が変なことしてるなーとしか思えないのです。
この呪いも唐突に降りかかるのでこっちが怖がる時間もなく人が死んでいきます。もっとおいらを怖がらせてくれーそもそもコトリバコってネットロア発祥の話じゃないの?そのコトリバコと古くからある樹海村という設定は食い合わせが悪い気がするぞ。
話の筋が多少ともしっかり描写されているのは響と鳴の姉妹と母親との関係性だけ。これがホラー要素を消し去っている原因でもあるのですが、姉妹役の山田杏奈と山口まゆのW山田がかわいいのでOKです。ちょっと残るあどけなさがいいです。2人とも今後活躍しそうです。応援してるぞ。
この姉妹、妹の響がひきこもっているのが原因で仲が悪かったのですが、コトリバコの呪いを通じて心を通わせて行きます。ひきこもっていたのも、人と違って異質なものを感じてしまうから。呪いというオカルトに直面した鳴も響きのことを理解していきます。かわいい姉妹が仲睦まじい様子は眼の保養になります。
それに個人的には母親役の安達祐実の色気がたまりませんでした。出番は多くはありませんがエロいだけでは出せない、人生の酸いも甘いも知る大人こそが出せる色気です。こんな艶やかでありながら家庭感が出る人はそうそういないのでは。
人が木に変容し、異形の化け物となる様はCGで描いていますがこれが予想外に出来がいいです。ちょっとびっくり。CGのデジタル感もあまり気にならず上手に人と合成しています。この、人が木に取り込まれていく様は中々見ごたえがあります。フリークス好きなら見て損なし。