常々感想記

本 映画 音楽 その他諸々の雑感を書き連ねるブログ

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『オービタル・クラウド』個人的な話

まず陳謝。「三冠達成と言いはするが其の実我が心胆を律動させること叶わぬだろう」続けて曰く「荒筋を読んでも引き込まれぬ。良いものは荒筋の時点で魅力的なもの」さらに曰く「宇宙が舞台、しかし月よりも遠くに行かぬさいえんすふぃくしょんに目新しいも…

『こころ』時代性

都合三度目か、この本を読むのは。中学生で1回高校生で1回そして今大学生で1回。その時その時で感想は違うけれど、今回で始めて「やるな……」と思った。(何様だ)うーん、自分の未熟さを思い知るばかり。特に高校生の頃はこの本(てわけでもないが)バカ…

知能と詩

世界にはほかに誰もいない。 見渡してもほかに誰もいない。 大切なのは彼らだけだった。 残されたのは彼らだけだった。 彼はわたしと一緒にいなければならなかった。 彼女は彼と一緒にいなければならなかった。 わたしはこうしなければならなかった。 わたし…

『私の殺した男』また、殺した男に私は

あらすじ 第一次世界大戦が終わるも戦争中に殺した男のことが忘れられないフランス人のポール。彼の死体の傍らには恋人に宛てた手紙があった。懊悩するポール。人を殺した罪を戦争のせいにすることができず、自らの罪だと常に悔いる。 そしてポールは自分の…

『1984年』は何時?

『未来世紀ブラジル』を思い出した。それもそのはずでこの映画は1984年版『1984年』だとギリアム監督は言っていたそうだ。この出典はWikipediaだが信用していいだろう。それほどまでに根底にあるテーマ、扱い方はちよっと違うけど…は似通っていて全体は個に…

『スチームオペラ』 それはニッチ

スッチィィィィィムパァァアァァァァァンンンンンクゥゥゥゥゥゥ! あらすじ 蒸気機関を主な動力源とする大都会に暮らす少女エマは、空中船《極光号》の船長を迎えるため港への道を急いでいた。船内の一室で、ガラス張りの”繭“に封じられた少年を発見し、解…

『夏の夜の夢』間抜けたちの狂想曲 

愛すべき間抜け。間抜けかわいい。 あらすじ(夏の夜の夢) 妖精の王とその后の喧嘩に巻き込まれ、さらに茶目な小妖精パックが惚れ薬を誤用したために、思いがけない食い違いの生じた恋人たち。妖精と人間が展開する詩情豊かな幻想喜劇。 アテネの王様シーシ…

『蒲団』もふもふ

蒲団という題名だけしか知らず、いつ頃の作家なのかも知らず。今回紐解けば日本の私小説の先駆けとも言える小説だったそうな。私小説というよりか自然主義の代表作として解説には書かれていた。 私小説は自然主義の大枠の中に入るのだろう。そもそも自然主義…

服は人なり!(カエアンの聖衣)

”服”からよくここまでの大法螺が吹けるのだろう。発想が普通じゃないよ。バリントン・J・ベイリーはすげえなと改めて思う。 あらすじ 服は人なり、という衣装哲学を具現したカエアン製の衣装は、敵対するザイオード人らをも魅了し、高額で闇取引されていた。…

伽藍が白かったとき、とはどんな時代だったか

著者はル・コルビジュ。建築家。建築界では有名な人で建築やってる人で知らなかったらおそらくモグリでしょう。たぶんね。 建築家でありながら本も多数残している筆まめな人でもあります。「本を書くのは大嫌い」と本人は言っているらしいがそれでも本を書く…

わたしを離さないで

Never let me go=わたしを離さないで カズオ・イシグロの小説。わたしにしては珍しく、読んだ本 つまり”わたしをはなさないで”について他の人と話す機会があった。珍しいではなく初めてかもしれない。話の核心に触れていくので未読の方はご注意。 あらすじ …