常々感想記

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りら荘事件

推理小説を最近読んでいないことに気がついた。じゃあ久しぶりに何か読んでみようと思って手に取ったのは鮎川哲也の”りら荘事件”。一気呵成に読みきりたかったから、時間が空くのを待っていたら読み始めるのに買ってから少し時間が空いてしまった。読み始めから終わりまでは3時間強。

 

純粋な謎解き推理小説を望んでこの”りら荘事件”を選んだ。フーダニットの逸品。

今回は一気に読みきったので、謎を考えるのは読み進めながらだった。そんな深く考えられるわけもなく、漠然と考えていた犯人についての考察はストライクゾーンを掠めたかな、ぐらい。謎解きが披露されると、ジグソーパズルのように次々とピースが埋まってゆく。成る程、成る程、そういうことだったか。

一気に読みきるには謎以外にも魅力がないとできない。その点この”りら荘事件”は出てくる人物に癖があり、そしてそんな人物たちが次々に殺されてゆくので、ページをめくる手が止まることはなかった。

大学の友人たちで訪れた都心から離れた場所、”りら荘”、一見仲良しだが不穏な空気が当初から漂う。彼らは避暑のためにこの”りら荘”を訪れたのだが、そこで連続殺人が発生する。ぼくは絶対に友達になりたくない人たちが殺されてゆくので、次は誰が死ぬのだろうとそこに楽しみを覚えてはいけないんじゃないかというところに楽しさを感じてしまった。

 

矢鱈と殺人の動機が重要視され、殺された人物についての省察もくどいほどに挟む推理小説とは違い、あくまで謎を提供してくれる。だからすごいその辺りあっさり済む。このサクサク進む感じ嫌いじゃない。それにしても警察は本当、無能でした。

謎解きが好きなひとはぜひ読むべし。

 

りら荘事件 (創元推理文庫)

りら荘事件 (創元推理文庫)