流せよその涙、とデジモンは言った
観てきましたよ、デジモン。
面白かったです、がこの面白さが曲者で素直に受け入れていいものかどうか。
デジモン放映当時、ぼくは小学校低学年、そうまさに世代ぴったしなのです。”デジモンアドベンチャー”が放映したのが1999‐2000年だということで、そこから15年経って甦ったデジモン。ぼくはとても楽しめたのだけど、いやこれが曲者なのです。
懐かしいから面白い、のか、面白いから懐かしい、のかわからない。
どうあがいてもこの”デジモンアドベンチャー”という作品群に関して、自身の思い出と照会せずに観ることはできない。今回、15年ぶりに初代選ばれし子供たちが甦る、ということで発表されたキービジュアルも、やはり脳内思い出フィルターを通してでしか眺めることはできませんでした。巷では、放映当時人気作品だったデジモンに対して、この新しいキービジュアルの反応は芳しくない者が多かったように思います。ぼくもなんか違うな、と思いました。みんな洒落ものになっている、目が小さい……。偏見を持たずに作品を観たいのだけれどこの時点で出来ていません。
けれどこれから先こんな体験が増えるのだろうと思います。時を重ねるということは自信の経験が増えていくということですから、どうしても作品と自身の経験を比較しがちになってしまうでしょう。うわぁ、いやだなぁ。
公開前からこんな状態ですので、いっそ振り切って楽しめたらいいのでしょうが、そんなことはできずに少々もやもやしながらの観賞でした。そりゃ上映直前にはワクワクで一杯だったけれども。
・デジモンアドベンチャーtri 第1章 再会
あらすじ
八神太一ら「選ばれし子供たち」が異世界・デジタルワールドへ渡ったあの夏の冒険から6年。そして八神ヒカリたちとベリアルヴァンデモンとの最後の戦いから3年の月日が流れようとしていた。
平穏な毎日が続く中、いつの間にか閉じてしまったデジタルワールドへのゲート。
選ばれし子供たちにもその原因は分からぬまま、時間だけが過ぎ去っていく―
そんなある日、突如としてお台場の街にクワガーモンが出現。
その暴走により街は破壊され、人々は大混乱に陥る。
クワガーモンを偶然見かけた太一は、その暴走を止めるために
単身その姿を追いかけるのだった。
しかしクワガーモンと対峙するもどうすることもできない太一。
「だめだ…俺一人じゃ、なにもできない…」
咆哮とともにクワガーモンが太一に襲いかかったその瞬間、
デジヴァイスが大きな光を放ち始めたー
「太一、でっかくなったなーっ!」
懐かしいあの声とともに、物語は再び大きく動き始める。*1
冒頭で言った通り面白かったです。ですが、なんだよなぁ。懐かしいから面白い、のか、面白いから懐かしい、のか判然としない。話しの中身よりそっちのことばかり気になって仕方がない。
ぼくみたいなデジモン大好き人間にとってはいい映画です。進化シーンはそりゃ涙ちょちょぎれそうになるし、brave heart流れた時はほんと感極まりました。進化シーンのデジモンは全部CGで作ってあってデジタルモンスターらしくなってた。それに成長した選ばれし子供たち、は懐かしくて懐かしくて、もどかしい。なにかにつけてつっこみを入れたくなってしまいます。昔、ぼくは選ばれし子供たちの1人だ!とのたまっていたので、今回ももし自分がこの物語の中に居たらなぁ、という妄想もしました。うーわ恥ずかしい。クワガーモンが最初に出てきたり、お馴染の台詞がきけたり個人的にはパタモンの「泣かないで、〇〇〇」とテイルモンの「ヒカリ」が、う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!デジモンの声は変わってないのがまたズシンと響いてきます。ヒカリとテイルモンは好きなんでこれがまた効く。彼女は冒頭で「お兄ちゃん」って言うのだけれど、ぜひともぼくもそう呼んでほしいですね。
今回は友人と観に行きました。勿論見終わった後、二人でああだのこうだの感想を言い交しました。見事にぼくと彼の感想は一致するところと、別れるところがあり、ちょっと興味深い。
「あんな無邪気だったこどもたちのちょっとした恋愛模様なんてみたくなかった」と友は言い、ぼくは「彼らも青春真っ只中ってことさ……」と遠い目をして言います。「なんか映画だけど言うほど映像よくなかった」と彼は言い、ぼくは「まあもともとテレビアニメ用の企画だったからしょうがないじゃないか」と言います。
しかし二人一致した点は「オメガモンあっさり出てき過ぎ」と「太一の声だけ違和感ある」また「物語としてはつまらない」等々。
オメガモンを見れたことは嬉しかったのですが、いたって簡単に登場するのです。こんな簡単に出てきていいの?いや、ダメでしょ!やっぱり危機迫る中にあって登場しないとこちらも応援しようにも、ただの虐めになってしまいます。いや、一応アルファモンという究極体のデジモンの襲撃で危なーいという状況ではあったのですが……。ヤマトが「オメガモンだ!太一!」と言って、悶々としながら太一が「ああ」と応え、じゃじゃーんとオメガモン登場。盛り上がらないよ?オメガモンはかっこいいけど盛り上がらないよ。
ぼくの幼少期、うはぁかっけぇ、と思ったオメガモンを見れたことは嬉しい。ウォーグレイモンとメタルガルルモンからあんな洗練されたデジモンになるなんて……。かっこよすぎる。うん、みれたから今回は良しとしよう。
「太一の声だけ違和感ある」はどうしようもないですね。
問題なのが「物語としてつまらない」ですが、全6章の内のまだ1章なので、期待して待ちましょう。でも物語っていうより、デジモンがまた見れるってことが大事なのかな、うん!
で、ここまでつらつら書いてきましたが、どう考えても”懐かしいから楽しんでいる”じゃないですかー。それって楽しみ方としてどうなのん?あまりよくない鑑賞態度だと思うのです。しかし……これが生きるということなのかっ……!
”第2章決意”も楽しみにしてます。おそらく丈先輩が受験なんてもういいや!と決意するのでしょう。いいぞ!丈先輩!頑張れ!丈先輩!
・思い出しちゃう子供のころ
この作品はとても精神を抉り取る映画です。時間を感じる。
当時小学生だったぼくも20を超え、大人と言っても差し障りない年齢です。なのに選ばれし子供たちはまだ高校生、中学生なんですよ!いや15年前には君たちのほうがぼくより年上だったじゃないか……。いやいや、彼らも順当に年を取ったとしてみると、太一は25,6歳。最年少組のタケル、ヒカリですら22,3歳でしょ?15年って恐ろしい。
もうね立派な社会人ですよ。太一なんかばりばりの外交マンになるし。
今までにもリメイク作品といって昔の作品を取り直した物はいっぱいありました。
あしたのジョー、ヤッターマン、マッハGOGO(リメイク時はスピードレーサーってタイトルだったはず)、最近では寄生獣。これはリメイクってわけじゃないけど。
そういう肌身で時間の流れを感じる作品はこれがはじめてだったなぁ。
あの純真無垢(バカと言い換えても可)だった子供のころを思い出す。これは昔のアルバムを引っ張り出して眺める行為に近いですね。だからあんまり見たくないんだけど、デジモン好きなので何回も見ると思います。はぁっ。
とうとうこういう作品が出始めてきたか……。
*1:デジモンアドベンチャーtri 公式サイトより