常々感想記

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ケルベロス第五の首

綿菓子みたい。

曖昧模糊。捉えどころがない。なのにべたつく。

読み終わったはずなのに、読み終わった気がしない。

確かに最後の一語まで読んだ。読んだはずなのに。

 

 

 

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

 

 

きっかけはこの本。

 

 

殊能将之は大好きな作家のひとり。

傑作だとここで語られていたので、読んでみようと。

あらすじが書かれていたが、先入観を持ちたくなかったので本の名前だけ書きとめて、あらすじを忘れたころに読み始めることにした。凄い傑作だって言っていたから。

 

何だこれは。というのが正直なところ。

 

 いや、あらすじを書く気になれない、というより書けない。

読み終わった後に殊能将之のこの本の「ケルベロス第五の首」の箇所を読み直してみたけど、最後に自分で

こんな紹介じゃ、なぜとんでもない傑作なのか、よくわからないだろうなぁ。残念。

と言っている。そういえばこの最後の一文で読んでみようって気になったんだった。

ほんとによくわからないですよ、この本。

わかった気にはなれる。でも「これは本当にそうなのか?」という自問自答がずっと続く。解釈のしようがあり過ぎるというか、読んだ後すぐにまた開くような本。

ほんとに絶えず考えながら読まないと巻き込まれて自分を見失っちゃう。

謎がありすぎて考えることを強要してくるかのようだった。

 

訳者の柳下毅一郎があとがき?で

だからー(中略)ー白紙の状態で読みはじめるべきである。とりわけー(中略)ー魔法を味わおうと思いたいのなら。

 と書いている。そうだなぁ。そうかもしれない。けれどぼくはただ自分が感じた戸惑いをこれから読む人にも感じてもらいたいから(にひひ)この本の内容には触れないことにしよう。

けれど最低限、ほんと最低限のことだけ。

この小説は大別すればSF小説になる。SF推理小説とも。「ケルベロス第五の首」は長編である。しかし正確に言えば三つの中編から成り立っている、連作中編集である。

その三つとは

  • ケルベロス第五の首
  • 『ある物語』ジョン・V・マーシュ作
  • V・R・T

である。以上!

これ読んだ人と話してみたいなぁ~。

 

敬称は略させて頂きました。