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デジモンを待ちながら(デジモンアドベンチャーtri第2章決意 感想)

「つまらない……」

見終わって最初にいった言葉。苦笑いしながらいったけれど、内心はひどくがっかりしていて、失望を通り越し、そして怒りにまで達しようとしていた。

さあここからは貶しに貶すぞ。めっちゃ悪口いってやるよ!だってつまらなかったんだもん。見るべきところも皆無といっていい。久しぶりにこんなひどいものを見た。何から何までダメづくしのこの映画。映画見る前の気持ちを返せ!

ネタバレあるよ。

 

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あらすじ

温泉入って、文化祭やって、感染デジモンと戦って、デジモンカイザーっぽいの出てきて、レオモンが死ぬ

 

何から何までひどいので、よかったところをあげるほうが難しい。探さなきゃ見つからないっていう状況がそもそも映画のできの悪さを露呈しているようなもの。強いて、強いてあげるならばレオモンが出てきて、「わぁまたレオモンが見れたー」光子郎の服がダサいーぐらいだ。

じゃあ何がつまらなかったの=全部。

 

・作画

作画のひどさ。やけに大きいバスの車内や温泉。止め絵ばかりの背景(そこまでクオリティ高くない)。パースの狂っている廊下。噂でしか知らないけれど「制作現場がごたついているっていうのは本当のようだな……」と思ってしまう。

加えて動きません。アニメなのにあまり動きません。いやしくも劇場公開しているのだからそれなりのものを作って欲しい。問題なのが作画だけならここまで気になりはしなかっただろう。そこまで作画に詳しいわけでもないし。しかしこれだけではないためかひじょーに気になる。クレジットにエンディングアニメーションという欄があったけれど、エンディングアニメーション動いてないからね。静止画にちょろちょろエフェクトかけただけだからね。まだここも1章の方がまともだった。

 

・脚本とか諸々

ちょっと頑張って高校生が書いたのかと思う脚本。いらないところが多すぎる。それに時間を割くなら他のところもっと見たい。冒頭の温泉なんて何がしたかったのか……中途半端すぎる。triから登場した芽心と無印からのおなじみのメンバーが交流するところを見せたかったんだろうとは思う。だがなぜ温泉、大江戸温泉。だいたいお台場にあるのに、お台場に住んでいるのになぜバス移動なの?そこは気にしなくてもいいところのはずなんだけれど、物語の本質には関係ないところなんだけどアラが目立つと他のところも連れ立って気になり始めてしまうのは人としての性です。

また温泉なのに野郎の肌色ばかり見せるその根性。女子、女子の肌を見せろ!温泉ってそのためにあるようなもんでしょ。サービス回みたいなもんでしょ。ないならないでいいんだよ。半端に女子の風呂場のシーンがあるからさ……。こっちもちょっと期待しちゃうじゃん?そこをあえて外してくる意味は何さ!

あの選ばれし子供達のそんなキャッキャウフフな展開は見たくないという気持ちもあるけどさ、やるならやろうよ!?ね?半端にはしないでよ。

 

脚本を書く上で、この物語の立ち位置はどこにあるのか。ぼくは「初代、02があってその流れの中で今回のtriがある」と認識している。初代と02ありきの話だと思っている。小学生だった選ばれし子供達のその後を描いている話だと。それにしてはあまりにも前作を無視していはいないだろうか?

1章の決意の時点では、再登場した彼らが動いて喋っていることだけである種満足してしまった(多少の不満は残っていたが)。2章になると、今の彼らの物語に比重を置いてぼくたちも見るようになる。もはや別人じゃないか……とぼくの印象。

2章では太刀川ミミと城戸丈の二人に焦点を当てて話が進められる。1章での太一のように二人も悩みを抱え、それを乗り越える。が、ウスィ〜。丈先輩はまだしもミミは薄い。ただのバカじゃないか。

  1. 自分のやりたいことはやる。自己中だって言われてもいい!
  2. その行動の結果デジモンは悪という風評が広がるかつパルモンも傷つく。
  3. また文化祭で自ら企画したカフェの衣装(チアガールみたいな)にいちゃもんつけられ協力してくれていた芽心に八つ当たりしてしまう。
  4. 本番その衣装を着ている芽心。その芽心に「わたし着たかったから、着てハッピーになりたかったから」(ハッピーというのは自分の意見を通す際ミミが連呼していた言葉)と言われ、なぜか吹っ切れる。

Why?

そもそもミミは確かに自分のことを先に考えてしまい、言いたいことはずけずけ言うし、周りが見えなくなりがちでしたが優しさも兼ね備えており、バカではなかった。バカに見えがちだけど。だけどなんだこのバカ丸出しの悩みと吹っ切れた理由は。パルモンのことは良かったのかよ?と思ってしまう。その自分の行動で周りが迷惑してしまったことに対しての自分なりの答えすら出ていない(少なくともぼくにはそう見えた)のに、究極体に進化するし、ナンダコレ。

丈先輩についてはまだわかる。

  1. みんな戦ってる。でもぼくは勉強が大事なんだ。このままじゃ志望校に合格できない。卑怯だけどぼくは戦わない。ゴマモンには悪いけれど。
  2. いつまで選ばれし子供でいなくちゃいけないんだ。どうして僕らなんだ。なんで僕らが戦わなくちゃいけない?という思いと自分だけ逃げているという思いでの自己嫌悪。
  3. 丈の邪魔にならないように、と丈のもとを離れるゴマモン。「おいらのことが迷惑なんだろ!」と口論に。勢いで「ああ、そうだ。迷惑だよ!」
  4. ゴマモンがピンチに陥る。ヒカリの言葉「理由なんているんですか?ゴマモンは丈先輩のパートナーそれだけじゃいけないんですか?」その通りだ……。

まだわかります。ええ。

確かに選ばれし子供達だけどいつまでその役目を果たさなければならないのか、いつまで”子供”なのか。これは全編通して語っても良かった気がする。

 

デジモンと思春期高校生

大人になりつつある選ばれし子供達、思春期の子供の葛藤や懊悩を描きたいのかなー。しかし露呈したのは相性の悪さ。デジモンは幼い子供のようなもの。そして選ばれし子供達は今では高校生。パートナーデジモンと彼らはすでに絆を深め、互いに信頼しあっている。一体そこにどんなドラマが生まれるのだろう?話の軸は否応なく現在思春期真っ只中の選ばれし子供達に据えるしかなくなり、デジモンの名を冠しておりながら肝心のデジモンの話がしにくいというジレンマに陥る。舞台がデジタルワールドでなく、現実世界だということがますますその傾向に拍車をかける。今回の2章では感染デジモンとそれに類する話についてほとんど何も進まず、ただデジモンカイザー(本物かどうか不明)が現れ不可解な行動をしたということのみ。芽心のパートナー、メイクーモンが豹変しレオモンを殺してしまうが、そんなもの「メイクーモンは物語に関わってくるんでしょ」とあたりをつけていた我々には驚きももたらさず、ただそうですかーで終わってしまう。もうクルモンみたいな感じでしょ?歪みの発生を直前になってしまうが捉えられるようになったとはいえ、それが何か小道具として物語に使われるわけでもない。

まぁこの辺りは今後の展開次第というところでもあるのだけれど……やっぱりデジモンも活躍してほしいな。今だとただ戦っているだけだからな。もっと他の面をですね。

しかしヒカリの聖母感はなんだ。もうこいつに全部任せちゃえばいいんじゃないかと思ってしまう。主人公の妹というポジションかつ他の子とは少し異なる経緯を持ち、また力もあった彼女はグランドマザー。太一の幼馴染の空など、斧で斬り伏せられ存在感は薄い。丈先輩にきっかけを与えたのは彼女であるし、太一に「向き合いたくないことあるの?」と辛辣に問う彼女。万能。しかし中2。

登場人物の扱いがもはや記号のような気がする。例えるなら金髪ツインテールツンデレ、みたいな。ペタペタ記号を貼り付け動かしている。記号の集合体で中身がない。うーん、まだ全部終わってない時点で言うことじゃないか。今の時点だとそう思う。

だいたいミミは言われっぱなしで終わるような子じゃない。走って逃げるにしても光子郎をひっぱたいてぐらいのことをするんじゃないかなぁ。逃げるんだったら、ね。

 

見せ方、演出はもう、なんだろう。頑張れ!脚本がアレでも見せ方次第で挽回できるよ!今回は全く挽回できてなかったけどさ!え、具体的に?姫川のあのチグハグな感じとかさ。最後のインペリアルドラモンとの戦いとかなんか分かりにくかったよ!、うん。うまく言えないからもう言わないけど!

 

中途半端で、何を見せたいのかはっきりしないし何をやりたいのかはっきりしない。とっちらかった印象。面白かったらなんでもいいんだけど。

 

次章は”告白”だそうだ。もうサブタイトルつけなくてもいいんじゃない?2章の決意もなんか、不完全燃焼だったし。

青空を背景にパタモンの口が動く。「さよなら、タケル」

「パタモォーン!!!」叫ぶタケル。

といった”告白”予告編でしたが、またパタモンかよ!と。

 

次からはもう映画館に行って見なくてもいいかな……と。

期待したいけどねー。