感想
寂しいのは自分をわかってもらえないし自分でもわからないから。理由は言葉にならずただ己の心の中で形を持たず、ふわふわとしている。 言葉にならない気持ちが涙になり慟哭になり、岬へと足を運ばせる。「死ぬ」ということは解放を意味するのだろうか?いや…
どこかに置いていないかと探し続けて数年。もちろん古本屋にも行く。しかしどうしてもない。先日ついに取り寄せしようと思い問い合わせる、絶版とのこと。再版してると思ったが……意外です。 もう面倒になったのでネットの力を借りて手に入れた。 著者(殊能…
マイベストコメディ映画の座を射止めたのはエミール・クストリッツァ監督の『黒猫白猫』。すごくいい映画。見ないのは持ったいない。むしろ見なさい。色々とあほらしくなってくるから。先週の文芸座で観てきた。 一応あらすじ ジプシーのマトゥコは、自称ダ…
中村文則はいつか読もうと思っていた作家。『私の消滅』が本屋の店頭に並んでいるのを見て「早いな」。文学界の六月号に掲載されたばかりだろう。予め決まってたんだろうな。パラパラと単行本をめくった。違いは巻末に参考文献についての一言と内容について…
以前にもこの映画のことには触れたがその時は見終わった後の気持ちに任せるがまま書いたので感想と言えるほどのものではかった。今週末に文芸座でエミール・クストリッツァ監督作品の上映がある。これは時機を得た。改めて振り返り今週末に臨もうぞ。 ・スト…
スタンリー・キューブリック監督の『ロリータ』は原作者ナボコフが脚本を書いたもののその2割程度しか使っておらずナボコフも不満を漏らしていたという(書いた脚本がそのままだったら7時間にも及ぶってなったら仕方ない気もする)。十分いい映画だと思っ…
わっけわかんねぇ。 ささやかではあるがそれなりに本を読んできた身としては、たいていの本は読めると思っていたけれど今回そのチンケな自負をぶっ壊していただきました。ありがとうございます。世の中は広いね。あらすじをかけるほどに読めず内容も理解でき…
まず陳謝。「三冠達成と言いはするが其の実我が心胆を律動させること叶わぬだろう」続けて曰く「荒筋を読んでも引き込まれぬ。良いものは荒筋の時点で魅力的なもの」さらに曰く「宇宙が舞台、しかし月よりも遠くに行かぬさいえんすふぃくしょんに目新しいも…
都合三度目か、この本を読むのは。中学生で1回高校生で1回そして今大学生で1回。その時その時で感想は違うけれど、今回で始めて「やるな……」と思った。(何様だ)うーん、自分の未熟さを思い知るばかり。特に高校生の頃はこの本(てわけでもないが)バカ…
あらすじ 第一次世界大戦が終わるも戦争中に殺した男のことが忘れられないフランス人のポール。彼の死体の傍らには恋人に宛てた手紙があった。懊悩するポール。人を殺した罪を戦争のせいにすることができず、自らの罪だと常に悔いる。 そしてポールは自分の…
『未来世紀ブラジル』を思い出した。それもそのはずでこの映画は1984年版『1984年』だとギリアム監督は言っていたそうだ。この出典はWikipediaだが信用していいだろう。それほどまでに根底にあるテーマ、扱い方はちよっと違うけど…は似通っていて全体は個に…
スッチィィィィィムパァァアァァァァァンンンンンクゥゥゥゥゥゥ! あらすじ 蒸気機関を主な動力源とする大都会に暮らす少女エマは、空中船《極光号》の船長を迎えるため港への道を急いでいた。船内の一室で、ガラス張りの”繭“に封じられた少年を発見し、解…
愛すべき間抜け。間抜けかわいい。 あらすじ(夏の夜の夢) 妖精の王とその后の喧嘩に巻き込まれ、さらに茶目な小妖精パックが惚れ薬を誤用したために、思いがけない食い違いの生じた恋人たち。妖精と人間が展開する詩情豊かな幻想喜劇。 アテネの王様シーシ…
蒲団という題名だけしか知らず、いつ頃の作家なのかも知らず。今回紐解けば日本の私小説の先駆けとも言える小説だったそうな。私小説というよりか自然主義の代表作として解説には書かれていた。 私小説は自然主義の大枠の中に入るのだろう。そもそも自然主義…
”服”からよくここまでの大法螺が吹けるのだろう。発想が普通じゃないよ。バリントン・J・ベイリーはすげえなと改めて思う。 あらすじ 服は人なり、という衣装哲学を具現したカエアン製の衣装は、敵対するザイオード人らをも魅了し、高額で闇取引されていた。…
著者はル・コルビジュ。建築家。建築界では有名な人で建築やってる人で知らなかったらおそらくモグリでしょう。たぶんね。 建築家でありながら本も多数残している筆まめな人でもあります。「本を書くのは大嫌い」と本人は言っているらしいがそれでも本を書く…
Never let me go=わたしを離さないで カズオ・イシグロの小説。わたしにしては珍しく、読んだ本 つまり”わたしをはなさないで”について他の人と話す機会があった。珍しいではなく初めてかもしれない。話の核心に触れていくので未読の方はご注意。 あらすじ …
バナナフィッシュは死を呼ぶ魚として名を知られている。サリンジャーの『バナナフィッシュにうってつけの日』という短編に登場しており、バナナ穴に入ってバナナを食べ、そして死ぬしかない魚。 そんなバナナフィッシュが題名なこの少女漫画。吉田秋生といえ…
勘違いしたまま読んだけどそれでも面白い。 レオ・ペルッツ『第三の魔弾』 あらすじ 神聖ローマ帝国を追放され、新大陸に渡った”ラインの暴れ伯爵”グルムバッハは、アステカ国王に味方して、征服者コルテス率いるスペインの無敵軍に立ち向かった。グルムバッ…
おやおや、おっさんばっか。毛色が違う?雪山の山荘に閉じ込められたジジイ達の話。西部劇の時代、南北戦争直後。白か黒、もしくはインディアン。飛び散る肉片、吐き出す血飛沫、口から出るのは出鱈目だらけ。 みたら通常運転タランティーノ。 あらすじ 猛吹…
舟橋聖一は風俗小説。そんなイメージ。 『芸者小夏』もそうだった。この『悉皆屋康吉』もそう。だけれどもそんなジャンル、そんな区分をされていようと関係ない。これはいい小説。好きだ。 あらすじ 呉服についての便利屋であり、染色の仲介業者である悉皆屋…
「つまらない……」 見終わって最初にいった言葉。苦笑いしながらいったけれど、内心はひどくがっかりしていて、失望を通り越し、そして怒りにまで達しようとしていた。 さあここからは貶しに貶すぞ。めっちゃ悪口いってやるよ!だってつまらなかったんだもん…
暴力/腐敗/権力/政治/麻薬/密告/恐喝 言えることはひとつ。 エルロイはぶっ飛んでいる。 吐くのは保身のため、遠慮なく自らのために情報を売り流す。ここじゃあ誰彼だって俗に言う犯罪まがいのことはしているんだ。そんなところで我が身を大切にしなけ…
テッテッテーテ・テッテッテーテ・テッテッテーテ・テッテッテーテブパパパブパパパブパパパブパパパテェレーンテェレーンテェレーンテェレーンテッテッテ…… 日常/戦争、響く音楽、踊れよ踊れ。ぼくらはみんな一生懸命。つまり喜劇。 あらすじ 1941年4月6日…
マット・デイモンが全て マーク・ワトニー=マット・デイモン、になった時映画は完成した。 あらすじ NASAの有人火星探査計画、アレス3のクルーは大規模な砂嵐によって火星でのミッションを放棄。退避する途中、クルーのひとりマーク・ワトニーにアンテナが…
小説で音楽を扱うことは難しい。音は文字に置き換えることはできない。音楽をメインに据えるということはそれだけで水の中で息をしようとするようなものだろう。 『クロニクル・アラウンド・ザ・クロック』略してクロクロ。 あらすじ 幼稚で痛々しいわたしの…
R・レッドフォード主演のポリティカルサスペンス。 これを面白いと思ったら大人。 あらすじ ジョセフ・ターナーはCIAの分析官。仕事は世界中で出版されている本や雑誌を読み、情報分析を行うこと。所属している第17部9課は、アメリカ文学史協会として表向き…
文芸座で二本立て上映されていた。 "U.N.C.L.E"は見逃していたので行くしかないと。 キングスマン あらすじ キングスマン。それは高級テイラーの名前。しかしそれは表向き、実はどんな国にも属さず、世界の平和を守り続けるスパイ組織だった…… 母の再婚相手…
帯の背中に書いてある文句が「悪の輝きを放つ作家たち」。 悪の輝き、とはどんなものか。黒い光、それとも悪の意志を秘めて光ることか。輝くというより光を携えると言った方がいいのか。一体悪の輝きとは? あらすじ……といってもあらすじというあらすじがな…
指を鳴らしてみたり、メガネを指でクイッと押し上げたり、独自性を出し信号が赤になる瞬間に横断歩道を渡りきったり、足で5拍子のリズムをとってみたり、レシートを受け取るさいに絶対に小銭を重しに使わせないように努力してみたり。 ああ、ぼくもフェルマ…