常々感想記

本 映画 音楽 その他諸々の雑感を書き連ねるブログ

感想

殻の少女 感想 その1 序詞まで

昭和という時代は近いようで遠い。和暦の中では63年、という長い時間が昭和とされその間様々なことがあった。やはり一番重要なのは第二次世界大戦でしょう。日本視点だと太平洋戦争になります。ご存じの通り日本は負けて連合国の支配下に置かれました。敗戦…

21ブリッジ

他人の判断に正義をゆだねるな自分の頭で考え、行動しろ チャドウィック・ボーズマンの最後の主演作。この映画を観て、本当に惜しい人を亡くしたのだな、と思った。それほど、彼の演技は素晴らしかった。 あらすじ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

DOKIDOKI Literature club!=ドキドキ文芸部!

「Doki Doki Literature Club!」という海外の同人ゲーム作品の噂を聞き、興味を覚えsteamで無料だというのでプレイしてみた。日本語版があるわけではないけれど、どこかの誰かが作成してくれた日本語に翻訳するパッチもあるので遊ぶのに支障はない。ありがと…

佐々木、イン、マイマイン

青春とは若者だけのものである、と誰かが言った 青春とはモラトリアムである、と知った顔で誰かが言った 青春とは大人になるための通過儀礼である、と決めつけるように誰かが言った。 いや、そのどれも間違っている。 青春とは… 「佐々木、イン、マイマイン…

樹海村

不安をあおるシーンはなく、恐怖で震えるシーンもない。 そう、ホラーではなくホームドラマでした。わたしはホラーが見たかったのに… あらすじ 天沢響は引きこもり。 今日もモニターの前に居座って、ヘッドフォンで耳を閉ざし、動画を見る。 見たくないもの…

マブラヴとマブラヴオルタネイティヴ プレイ感想

マブラヴをプレイして、 ちょこっと文章書きたい欲が沸いたので久しぶりにブログを更新します。 やや自己満足のために文章を書いているので読みにくいかも。平にご容赦ください。 【マブラヴ】とはエロゲです。つまりHなシーンがあるゲームです。 ただ、全…

リズと青い鳥

TVアニメは見てたけれど見に行く数日前までこの映画は知らなかった。だから期待しすぎることもなくフラットな気持ちで見に行けた。だから見たときにすごく驚いた。これがアニメ…アニメなのかーって。 TVアニメが劇場化したとか、作ったのが京アニとか、原作…

さよならの朝に約束の花をかざろう

「さよならの朝に約束の花をかざろう」略して「さよあさ」見てきました。良かったです。ただ感想を書くだけだと面白みがなくなりそうなんで以下、1人2役の対談形式で映画の感想を書きます。ネタバレ多々あります。まだ見てない人は見た後に読んでください。 …

ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!

ナチスほぼストーリーに関係ないじゃん、が1番の感想。超あっさりアクション映画で嫌味なく気持ちよーく見れた。内容は少ししたらほぼ忘れていると思うけどそれがいいと思う。その割に舞台が1995年のサラエボって背景がちょっとわかりにくくしているのが不思…

リベリアの白い血

リベリアの白い血(out of my hand)を見て色々思わされたので書きます。この作品の詳細な紹介とか、バックホーンとかはここでは書きません。僕が見て思ったことを書いていきます。 あらすじ リベリア共和国のゴム農園で働くシスコは四人家族の家主。日が昇る…

茄子の輝き

同じ記憶を様々な事柄でなんども反芻する。その時、過去もしくは現在どっちにいるのだろう。見ることのできない四次元軸はねじれて跳ぶ。 些細なこと、毎日の中よく触れること。これも誰かにとって一生残るような記憶になるかもしれない。人の頭の中を覗いて…

マダム・エドワルダ

introduction 敬虔なカトリック教徒が信仰を棄て、コレを書いたのかと思うと空いた口が塞がらない。あまりにも放埓で卑賤なので嫌悪感を覚える。しかしそれと同時に楽しそうと思う自分もいる。う〜ん、まいっちゃう。 author ジョルジュ・バタイユ・フランス…

ムーンライト

introduction アカデミー賞を作品賞・脚色賞・助演男優賞の3部門で受賞したのが『ムーンライト』だ。今回、あらすじやPVでの知見は無しでの鑑賞。知っていたのは黒人の少年の話だ、というくらい。 結論から言うとこの映画が大好きです。 plot summary リトル…

崖っぷち

introduction 拝啓、クソったれ世界様。 本の帯にとてもこちらを煽ってくるフレーズが書いてあった。そんなわけで僕も「くそったれ本を読んでやる!」という気持ちで本を買う。内心はめちゃくちゃ期待していた。 キャッチコピーに違わぬ内容で身近なものを片…

凍土二人行 黒スープ付き

introduction たまには自分の趣味と違う本を読むのもいいものだ。 author 雪舟えま。気鋭の詩人で小説家とのこと。なお、この小説は早稲田文学に掲載された短編に書き下ろしを加えて一冊の本にしたもの。 正直、作家よりも筑摩書房が一目でイラストとわかる…

パパ・ユーア クレイジー

introduction 月並みの言葉でしか言えないが、これはすごいいい本だった。何がいいのかは読めばわかるぞ。ということでみんな読もう。 author ウィリアム・サローヤン。移民の子としてアメリカに生まれた。様々な職を転々としたのち1933年発表の「空中ぶらん…

皇国「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」

introduction 21世紀版『高い城の男』(読んだことない)という宣伝文句で、大々的に売り込まれたこの作品です。表紙は『メカ』と呼ばれる大日本帝国軍(陸軍なのか海軍なのか空軍なのか気になる。おそらく陸軍であろうが……)の兵器。 第二次世界大戦で日独が勝…

第三帝国の興亡

introduction ナチスドイツは1933年からおよそ11年半存続し、ヒトラーは1945年4月30日に自害した。なぜヒトラーが権力を握るに至ったのか、そしてなぜヒトラー率いる第三帝国は滅びたのか。までを丹念に描いた本。 作者も戦争当時、ジャーナリストとしてドイ…

2016東京国際映画祭にて。ごめんなさい。

introduction 行けるなら行こうと思ってなんだかんだ3年目。『雨月物語』や『荒野の決闘』 等古い作品のリバイバル上映も魅力的でした。めちゃみたかった。 しかしやはり“今”の映画を見たいと思って見たのが『シエラネバダ』。 なんでだろう?前年の『カラ…

『エル・トポ』

introduction カルト映画として有名なこの映画をようやく見ました。 まぁぁぁぁぁ鮮烈でした。映画、というより活動写真、と言った方が雰囲気はつかめると思います。なんせ監督自ら、これは芸術映画と言っているくらいですから。いやいや、確かにとんでもな…

東西境界線『ボスニア物語』

introduction 村上春樹が今年もノーベル文学賞を逃した、と話題になっている。そうやって大きく取り上げれば取り上げるほど、受賞から遠ざかって行く気がするのはぼくだけだろうか。 今回読んだ本、ボスニア物語はノーベル文学賞を受賞している作家が書いた…

『暴力の人類史』①

面白いことが盛りだくさんな本だった。夢中で読んだ。 振り返るために自分でまとめてみたいと思う。 この本は現代は暴力が少ない時代である、ということを述べている。極めて冷静に客観的にそのことを述べているので首肯せざるを得ない。 数が減っているとい…

『犬の心臓・運命の卵』ワンワン・タマタマ

introduction 20世紀初頭のロシアは大変。とんでもないことが次々と起こり、次々と終わった。恐怖政治とかソ連崩壊とか世界大戦とか。とか、で済まされないことが多々起こった。 笑えない状況を憎々しく思っていた知識人の一人。ミハイル・ブルガーゴフは小…

今更『トム・ソーヤーの冒険』

introduction 世界で一番有名な子供といっても過言ではないのだろうトム・ソーヤー。少年文学の傑作!ですが、もしかしたら一番読んではいけない時に読んでしまったのではないだろうか? plot summary 茶目っ気たっぷりのわんぱく少年トムは、街の浮浪児宿…

『死の家の記録』人間観察記

introduction ドストエフスキーが実体験を元に書いた獄中記。監獄を”死の家”と呼ぶ……しかしあまりそうは感じなかった?いや、でもハッとさせられるのである。 plot summary 妻殺しの罪で服役していたゴリャンチコフの『死の家の情景集』という手記。 author …

『君の名は。』感じて想う

ネタバレをするつもりはないけれど、書いているうちに内容に触れることもあるかもしれない。頭まっさらで見たい人は読むのを思い止まろう。 Introduction 前作から比べると、その上映規模と広告展開の多岐さに新海誠もここまで来たか、と思わざるを得ない。…

『セヴァストーポリ』戦争

トルストイは軍人だったのは有名な話。その時の経験が作品にも活かされている。では、軍人として何をしていたのか。 その中で最も苛烈だったのがこの露土戦争末期クリミア戦争のセヴァストーポリだろう。この本はトルストイがまだ文壇に名を馳せていない頃、…

『聖ペテロの雪』きゅん

聖ペテロとは? イエス・キリストの最初の弟子とされ、キリストの弟子たちの中のリーダー的存在と目されていた。キリスト教は様々な諸派があり、それぞれに違いがある。その違いで戦争が起きたりしているのだが、この聖ペテロという人物はその諸派のいずれで…

『素晴らしいアメリカ野球』は宇宙一

原題がThe Great American Novel。直訳すると「偉大なアメリカの小説」だろう。そこを『素晴らしいアメリカ野球』と訳した人はすごい。 なにもかもが異常だから異常が異常だと思えないという小説。「偉大なアメリカ小説」という原題からはかけ離れてた無軌道…

『伯爵夫人』erectio

声に出して読みたい日本語。次々と繰り出される淫語は小気味よく笑いを誘う。伯爵夫人とは何者なのか。活動写真(映画)を揶揄しつつ小説の構造自体もその揶揄されている通りなのではないだろうか。 あらすじ おっぱいいっぱいおまんこいっぱい こんな笑劇だ…