狐が風鈴を鳴らす

本 映画 音楽 その他諸々の雑感を書き連ねるブログ

リベリアの白い血

リベリアの白い血(out of my hand)を見て色々思わされたので書きます。この作品の詳細な紹介とか、バックホーンとかはここでは書きません。僕が見て思ったことを書いていきます。 あらすじ リベリア共和国のゴム農園で働くシスコは四人家族の家主。日が昇る…

茄子の輝き

同じ記憶を様々な事柄でなんども反芻する。その時、過去もしくは現在どっちにいるのだろう。見ることのできない四次元軸はねじれて跳ぶ。 些細なこと、毎日の中よく触れること。これも誰かにとって一生残るような記憶になるかもしれない。人の頭の中を覗いて…

マダム・エドワルダ

introduction 敬虔なカトリック教徒が信仰を棄て、コレを書いたのかと思うと空いた口が塞がらない。あまりにも放埓で卑賤なので嫌悪感を覚える。しかしそれと同時に楽しそうと思う自分もいる。う〜ん、まいっちゃう。 author ジョルジュ・バタイユ・フランス…

ムーンライト

introduction アカデミー賞を作品賞・脚色賞・助演男優賞の3部門で受賞したのが『ムーンライト』だ。今回、あらすじやPVでの知見は無しでの鑑賞。知っていたのは黒人の少年の話だ、というくらい。 結論から言うとこの映画が大好きです。 plot summary リトル…

崖っぷち

introduction 拝啓、クソったれ世界様。 本の帯にとてもこちらを煽ってくるフレーズが書いてあった。そんなわけで僕も「くそったれ本を読んでやる!」という気持ちで本を買う。内心はめちゃくちゃ期待していた。 キャッチコピーに違わぬ内容で身近なものを片…

凍土二人行 黒スープ付き

introduction たまには自分の趣味と違う本を読むのもいいものだ。 author 雪舟えま。気鋭の詩人で小説家とのこと。なお、この小説は早稲田文学に掲載された短編に書き下ろしを加えて一冊の本にしたもの。 正直、作家よりも筑摩書房が一目でイラストとわかる…

パパ・ユーア クレイジー

introduction 月並みの言葉でしか言えないが、これはすごいいい本だった。何がいいのかは読めばわかるぞ。ということでみんな読もう。 author ウィリアム・サローヤン。移民の子としてアメリカに生まれた。様々な職を転々としたのち1933年発表の「空中ぶらん…

2016 印象に残った本

映画に続いて本版も。今年初めて読んだ作品で印象に残ったものをパッパと挙げていきます。よくも悪くも翻訳物ばっか読んでいた気がする。 雨月物語・春色梅児誉美(河出書房新社 日本文学全集第11巻より) どちらかに絞りたかったが両方とも良かったんだもん。…

2016年 印象に残った映画

今年初めて見た映画で印象に残った映画を幾つか挙げてみようと思います。 今年公開の映画とは限らず、昔のも多々含まれるかと。基準はなく、ただ「そういえばあの映画……」程度なのでかなり主観的。挙げる順番も関係ありませんので悪しからず。 ドクトル・ジ…

人生初ライブ 11/21「ペトロールズ」

introduction これまで音楽はCDで十分と考えていたし、ライブに行かないのは人ごみが嫌いだという理由もある。しかし行かず嫌いというものも如何なものかと思ったので、とりあえず行ってみることに。うーん、やはり現場でしか味わえないものはあるのだなぁ。…

これが現代・・・・・・

先日書いた「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」の感想文が作者本人にいいね!されるという珍事が起きました。 ぼくのダラダラ読書感想文に作者がいいね!をしてくれるとは・・・・・・ なんだか嬉しくなってしまいます。 作家さんとこんなに距離が近いなん…

皇国「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」

introduction 21世紀版『高い城の男』(読んだことない)という宣伝文句で、大々的に売り込まれたこの作品です。表紙は『メカ』と呼ばれる大日本帝国軍(陸軍なのか海軍なのか空軍なのか気になる。おそらく陸軍であろうが……)の兵器。 第二次世界大戦で日独が勝…

第三帝国の興亡

introduction ナチスドイツは1933年からおよそ11年半存続し、ヒトラーは1945年4月30日に自害した。なぜヒトラーが権力を握るに至ったのか、そしてなぜヒトラー率いる第三帝国は滅びたのか。までを丹念に描いた本。 作者も戦争当時、ジャーナリストとしてドイ…

2016東京国際映画祭にて。ごめんなさい。

introduction 行けるなら行こうと思ってなんだかんだ3年目。『雨月物語』や『荒野の決闘』 等古い作品のリバイバル上映も魅力的でした。めちゃみたかった。 しかしやはり“今”の映画を見たいと思って見たのが『シエラネバダ』。 なんでだろう?前年の『カラ…

『エル・トポ』

introduction カルト映画として有名なこの映画をようやく見ました。 まぁぁぁぁぁ鮮烈でした。映画、というより活動写真、と言った方が雰囲気はつかめると思います。なんせ監督自ら、これは芸術映画と言っているくらいですから。いやいや、確かにとんでもな…

東西境界線『ボスニア物語』

introduction 村上春樹が今年もノーベル文学賞を逃した、と話題になっている。そうやって大きく取り上げれば取り上げるほど、受賞から遠ざかって行く気がするのはぼくだけだろうか。 今回読んだ本、ボスニア物語はノーベル文学賞を受賞している作家が書いた…

『暴力の人類史』①

面白いことが盛りだくさんな本だった。夢中で読んだ。 振り返るために自分でまとめてみたいと思う。 この本は現代は暴力が少ない時代である、ということを述べている。極めて冷静に客観的にそのことを述べているので首肯せざるを得ない。 数が減っているとい…

『犬の心臓・運命の卵』ワンワン・タマタマ

introduction 20世紀初頭のロシアは大変。とんでもないことが次々と起こり、次々と終わった。恐怖政治とかソ連崩壊とか世界大戦とか。とか、で済まされないことが多々起こった。 笑えない状況を憎々しく思っていた知識人の一人。ミハイル・ブルガーゴフは小…

今更『トム・ソーヤーの冒険』

introduction 世界で一番有名な子供といっても過言ではないのだろうトム・ソーヤー。少年文学の傑作!ですが、もしかしたら一番読んではいけない時に読んでしまったのではないだろうか? plot summary 茶目っ気たっぷりのわんぱく少年トムは、街の浮浪児宿…

『死の家の記録』人間観察記

introduction ドストエフスキーが実体験を元に書いた獄中記。監獄を”死の家”と呼ぶ……しかしあまりそうは感じなかった?いや、でもハッとさせられるのである。 plot summary 妻殺しの罪で服役していたゴリャンチコフの『死の家の情景集』という手記。 author …

『君の名は。』感じて想う

ネタバレをするつもりはないけれど、書いているうちに内容に触れることもあるかもしれない。頭まっさらで見たい人は読むのを思い止まろう。 Introduction 前作から比べると、その上映規模と広告展開の多岐さに新海誠もここまで来たか、と思わざるを得ない。…

『セヴァストーポリ』戦争

トルストイは軍人だったのは有名な話。その時の経験が作品にも活かされている。では、軍人として何をしていたのか。 その中で最も苛烈だったのがこの露土戦争末期クリミア戦争のセヴァストーポリだろう。この本はトルストイがまだ文壇に名を馳せていない頃、…

『聖ペテロの雪』きゅん

聖ペテロとは? イエス・キリストの最初の弟子とされ、キリストの弟子たちの中のリーダー的存在と目されていた。キリスト教は様々な諸派があり、それぞれに違いがある。その違いで戦争が起きたりしているのだが、この聖ペテロという人物はその諸派のいずれで…

harman/kardon

掃除をしていて発掘されたのは昔イカとタコと呼んでいた物体。一体なんなのか全く分からず、家にあったのもの。10年越しに聞いてみたら「ウーファーとスピーカー」という答え。聞けば納得、見れば得心。 これは初代ではありません、が形は同じ。 harman/ka…

『素晴らしいアメリカ野球』は宇宙一

原題がThe Great American Novel。直訳すると「偉大なアメリカの小説」だろう。そこを『素晴らしいアメリカ野球』と訳した人はすごい。 なにもかもが異常だから異常が異常だと思えないという小説。「偉大なアメリカ小説」という原題からはかけ離れてた無軌道…

COMP『完全食』を試す

完全食の来歴。 米国にて飯を食べるのすら面倒くさいというものぐさな人たちが『ソイレント』という完全栄養代替食品を作る。粉末を水に溶かして飲むだけで人が生きていくのに必要な栄養を全て摂取できるというものだ。最初は市販されている各種ビタミンや鉄…

7/22『第三帝国』発売記念翻訳者トークイベントにて

ボラーニョの新本の来週発売に先駆け、先行販売と翻訳者のトークイベントが新宿紀伊国屋南店にて開催された。この『第三帝国』は死後発見された遺稿から出版された本で、白水社で刊行中のボラーニョコレクションの中では一番長い本である(野生の探偵たち、2…

『伯爵夫人』erectio

声に出して読みたい日本語。次々と繰り出される淫語は小気味よく笑いを誘う。伯爵夫人とは何者なのか。活動写真(映画)を揶揄しつつ小説の構造自体もその揶揄されている通りなのではないだろうか。 あらすじ おっぱいいっぱいおまんこいっぱい こんな笑劇だ…

『足摺岬』

寂しいのは自分をわかってもらえないし自分でもわからないから。理由は言葉にならずただ己の心の中で形を持たず、ふわふわとしている。 言葉にならない気持ちが涙になり慟哭になり、岬へと足を運ばせる。「死ぬ」ということは解放を意味するのだろうか?いや…

『美濃牛』(みのぎゅう)

どこかに置いていないかと探し続けて数年。もちろん古本屋にも行く。しかしどうしてもない。先日ついに取り寄せしようと思い問い合わせる、絶版とのこと。再版してると思ったが……意外です。 もう面倒になったのでネットの力を借りて手に入れた。 著者(殊能…